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なが雨の季節によせて


吉岡幸雄
染色家

(京都で江戸時代から続く染め屋の五代目
日本の伝統色を現代によみがえらせる)



暦のうえでまいりますと、今年は6月10日が梅雨の入りだそうであります。 しかしながら、5月の下旬辺りから小さな台風がやってまいりまして、 かなり湿った空気が日ごとに増して来る感じであります。 こうした気候の時、我々の心身ともに辛いわけでありますが、 こうしたものを恵みの雨と受けとめて、楽しみたいものであります。

この梅雨の現象と申しますのは、中国ですと揚子江の流域、朝鮮半島の南側。 日本列島では、沖縄からだんだん梅雨前線が北上してまいりまして、 およそひと月ほどがこうした梅雨の季節となるわけであります。

雨が続く。
辛いことでありますけれど、その地に降ります雨の4分の1から5分の1が、 この一月間に降るそうでありまして、ある意味では恵みの雨と申しますか、 そういう自然現象を有り難く受けとめなければならないことになっております。

私なども、年に何回か海外に行く機会がございまして、 飛行機の上から砂漠の長いところを見ておりましたり、 或いは、ツンドラの荒涼たる地を見ておりますと、 日本列島に近づいてまいりまして、日本列島の姿を見ますと、 緑の木々が、或いは、大地にさまざまな苗が植えられて美しい緑を呈しておる。 こういうものを見ますと、やはり「日本列島の在り様」といいますか、 「自然の在り様」の有り難さを感ずることがあるわけであります。

俳句の言葉に、『青梅雨』というのがございまして、 俳句の季語に『青梅雨』というのがございます。 これは、春の終わりごろから草木の緑が日ごとに成熟いたしまして、 その緑の色が雨露に濡れて、ひときわ輝くように美しい表情をみせる、 というのが『青梅雨』の季語のように思われるわけです。 なにをおいてもこの新緑の雨露に濡れた美しさは、 こころ洗われるような気がいたします。

私などは京都に住んでおりますが、お寺を巡りまして、この頃に苔の姿を見ますと、 本当に美しい緑の繧繝(うんげん)を映しております。 そういう季節。それに加えましてあじさいの花も美しく咲くところであります。 「あじさい」というのの語源は、「あお」が「集まる」というようなことらしいんでありますが、 あじさいの花は、そういううすい藍色から紫、そしてうす紅というふうに、 日ごとに花の色を変えて咲きますが、こうした姿もやはり雨露に少し濡れてる方が美しく感じられるのであります。

私どもの染色の仕事に係わりますことから見ますと、 この6月は、滋賀県の琵琶湖の畔にあります草津市で、 「露草」の青花紙というものを作られることに興味がございます。 滋賀県の方では、オオボウシバナ(大帽子花)という大きな露草の花を栽培しまして、 この花から色素を採るわけであります。 そして、紙に染み込ませまして。それは友禅染の下絵などに使われるようになりまして。 その友禅染に使われた青花の花は下絵でありますが、 後々に水で洗いますと流れますので、下絵にとっては非常にいい材料だ、ということであります。

この青花の紙は、江戸時代の浮世絵にも使われたそうでありまして、 きわめて古い時代からこうした絵の具として使われてたことがわかりますし、 草津の方では6月の風物詩となっております。

ところで、今年(2008年)は、源氏物語が著されて千年という記念すべき年になっておりますが、 そういうところから、私どもも源氏物語に接する機会が多くございます。 そういうなかで、源氏物語、王朝の貴人たちは梅雨のころをどのように過ごしていたのか、 というものを今日は、「雨夜の品定め」の場面でみてみたいと思うわけであります。

国語の教科書にもありました「雨夜の品定め」のとこでありますが、

なが雨晴れまなきころ、
内裏の御物忌さし続きて、
いとど長居さぶらひたまふを

という一文がございます。
梅雨の雨の続くころ、光源氏が物忌(ものいみ)、つまり不吉な出来事や 縁起の悪いことを避けるために、謹んで内に篭っていることであります。 そこに親友の頭中将(とうの・ちゅうじょう)など、若くて好色な貴公子たちがやってまいりまして、 女性談義に花を咲かせるところであります。

つれづれと降り暮らして、
しめやかなる宵の雨に、
殿上にもをさをさ人少なに、
御宿直所も例よりはのどやかなる
ここちするに、大殿油近くて、
書どもなど見たまふ

ということがございます。
これは光源氏の部屋にやって来て、明かりの下で光源氏にやって来た恋文を、 みんなでみてるというようなところでございます。 若き貴公子たちの楽しみのくつろいだ時間あるわけであります。

白き御衣どもの
なよなかなるに
直衣(のうし)ばかりを
しどけなく着なしたまひて

ということがございますが。
この頃の貴公子たちは、直衣(のうし)という普段着を着ておりますが、 これが、藍とかそれに少しうすい紅をかけた紫のような藍色、 こういうものを貴公子たちは着ておりました。 まるであじさいの花のような色彩でありますが、 そういうものを着ていて時間を持て余しているようなところが、 こういう「雨夜の品定め」の場面に出てまいります。

それから、こうした季節には、また蛍が飛び交う時でもございます。 源氏物語には、その名も「蛍」という調がございます。 光源氏が、かつて愛した夕顔の忘れ形見・玉鬘(たまかずら)を六条院の西の対に住まわしておる時でありますが。 光源氏は、夕顔の忘れ形見でありますので、親代わりになっておる反面、 かつての恋人の忘れ形見でもありますので非常に恋心を抱いている、 という微妙な心持でいるとこなんでありますが、 ここの場面では、自分の義理の弟にあたります蛍兵部卿宮を玉鬘と会わしてる場面なんであります。

王子は、几帳(きちょう)とか、或いは、御簾(みす)を介しての会う場面になりますが、 その時に光源氏は、玉鬘の姿が少し兵部卿宮に見えるように蛍を放ちまして、 その姿をみせるという、そういうような粋な計らいといいますか、 そういうことをした場面がこの場面に出てまいります。 蛍兵部卿宮は、この時に玉鬘の姿を見まして、また一層思いを深くする、 というようなことであります。

なんとも王朝の貴人たちというのは優雅な遊びをしてたようにみえるわけであります。

こうしてみてまいりますと、いつの時代も梅雨の辛いなかを、いろんなことで過ごしている。 なんとも優雅な場面であるわけであります。

私どもの日本列島、この緑豊かなものは、なんといいましても梅雨のなが雨の季節のそのお陰で、 ということもいえるわけでありますので、 我々もそうした「雨のよさ」というものを、 今日の地球環境から考えますと、ありがたいものだ、 というふうに思っていかなければならないと思いわけであります。

松尾芭蕉の句に 「五月雨(さみだれ)を集めて早し最上川」 という句がございます。 旧暦の五月、ちょうどいまも季節でございましょう。 松尾芭蕉は、東北を旅いたしまして、そうした最上川の情景を詠んだわけでありますが。

「五月雨(さみだれ)を集めて早し最上川」のような姿が、 これから日本の各地の河川で見られるようでありまして、 そういう、たっぷりと水を含んだ水田の姿とともに、 雨の恵み、天からの恵みをありがたく受けとめて日々を暮らしていきたいもんだと思っております。

 

13 June 2008
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